大宮の家
A House in OMIYA
a house for 2 generations/Kita-ku Kyoto
Pref./2011/photo_K.Sugino
二世帯住宅である。共通の玄関には世間話ができるようなスペースが求められた。1階の親世帯の寝室はふたつ、簡単な食事がつくれるようにミニキッチンを設けている。2階には共用のLDKがあり、隣は家具で仕切っただけの若夫婦のベッドコーナーである。将来単世帯になった時、夫婦寝室を1階にすれば広いLDKにすることができる。子供室は最小限の広さでロフトに用意されている。
外観と空間構成は、美観地区規制により勾配屋根が前提となることを念頭におき、隅切りのある敷地と向かいの公園への眺望を手がかりに考えた。まずこの敷地が属する街区全体 に、切妻屋根の建物が中庭を取り囲むように建設された状態を想像し(roof/ceiling plan)、次にそのヴォリュームの中にもうひとつ、入れ子状に街区があるような居住空間を思い浮かべた(plan)。街角の中の「まちかど」である。街区形状をそのままなぞったような中庭型アパートメントは西欧都市でよく見られるが、住宅内部にも「まちかど」がある構成はそうないだろう。平面は、内側「建物」部分を水回りと階段室のコアとし、外側「街路」部分をLDK として街へつなげればうまくいくと考えた。実際の視線はより強く公園に向けられている。高さを絞った水平連続窓にしたことで、住宅地にしては深い緑の奥行感を楽しめるようになったと思う。
もうひとつの外観の要素として、白い仮面がへばりついたような玄関回りがある。当初、デザイナーである建主からはどこが入口なのか分からないような玄関扉を、といった各種の興味深い要望が出されていた。最終的には、白い塗装を施した幾何学的形態が外壁にへばりついた表情となった。さまざまな景観規制に覆われた京都市内において、条例を受け入れつつも、それとは異なるカタチが組み合わされていることを期待された結果である。
所在地:京都市北区
主要用途:専用住宅
敷地面積:106.38㎡
建築面積:65.44㎡
延床面積:125.36㎡
規模:地上2階建
主体構造:木造在来工法
施工:ツキデ工務店
掲載誌: 新建築-住宅特集'12.06、JAPAN HOUSE